この度は、昇段の機会をいただき誠にありがとうございます。深く感謝を申し上げるとともに、道真会館の黒帯を締める重みを今、静かに噛み締めております。
私にとって今回の昇段は、単なる技術の習得ではなく、自分自身の人生と真摯に向き合い、過去の自分を超えるための挑戦でした。
私は学生時代、他流派にて空手に打ち込んでいました。しかし、就職や結婚といったライフステージの変化に伴い、一度は道着を脱ぎ、空手から遠ざかる日々を過ごしてきました。社会人として、また家庭を持つ身として充実した日々を送る一方で、心のどこかには「空手を中途半端に終えてしまった」という、小さくも消えない悔いが残り続けていました。
再び空手の道を志したのは三年前、四十歳を迎えた時です。「人生にやり残したことを作りたくない」という思いで、道真会館の門を叩きました。再開当初は、若い頃のような体力もなく、思うように動かない身体に戸惑うこともありました。しかし、片山館長をはじめ先生方の熱心なご指導、そして共に汗を流す道場生の皆様の存在に支えられ、今日まで稽古を積み重ねることができました。
審査当日の十人組手では、極限の状態の中で、これまで支えてくださった方々への感謝と、「自分に負けたくない」という強い感情が突き上げてきました。やっとの思いで手にした黒帯は、かつての「心残り」をこれからの「誇り」へと変えてくれる、私にとってかけがえのない証となりました。
黒帯を締めることはゴールではなく、新しい修行の始まりです。これからは有段者としての自覚を持ち、温かく迎え入れてくださった道真会館へ恩返しをしていきたいと考えています。心技体を磨き続けることはもちろん、自身の経験を後輩たちに伝え、道場がより良い場所であり続けるよう尽力することが、これからの私の役割だと思っています。
最後になりますが、片山館長、山下先生、そして道場の皆様とのご縁に心より感謝申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。